JAPANTEX あのカーテンの裏の裏話(マニアむけ解説)
11月15日から17日まで出展してきました!
あっという間の三日間。
とても素敵なレストランでの食事を何か月も楽しみにしていたのに、食べ始めたら一瞬で終わった・・・そんな感覚。
JAPANTEXは来場者数が毎年3~4万人というインテリアのビッグイベント。
多くのインテリアのプロたちが集います。
そういうなかでインテリア産業協会と日本インテリアファブリックス協会がコラボした初企画「WindowsParadise・・・窓楽園」
メーカー展示ではないので、私たち「窓遣い7人衆」の今回のルールは、国内メーカーで手に入る商材、それぞれのテーマ(私はスタイリング、ほかモノトーン、カラー)で、ということ。
あとは自由にインテリアコーディネーターとして、窓装飾プランナーとして空間を創るということでした。
カーテン業界で私が最も尊敬している木村さちこさん率いるメンバーは、私以外はすでに業界では名の通った方ばかり。
96%不安でしたが(残りの4%は根拠のない自信。。)
私もこの業界で20年以上やってきて何かできることがあれば、と決めました。
そこから日常業務をしながら2か月ほどかけて準備、縫製指示や図面の描き方など、たくさん不備があり指摘されました。
自分がこれまでどれだけ適当にやってきたか、反省しきりです。
なにより、自分は何を表現がしたいの?どんなイメージでスタイルを表すの?という自問自答の日々。決めていくことの連続。
自分の好きなテイストをひも解いていく・・祖父母の家、薄暗い部屋、香り・・
欧州で17世紀ころに流行した中国趣味や表現(シノワズリー)にすこし懐古的情緒を交えたイメージができあがりました。
テーマは「ノスタルジックシノワズリー」。
大切にしたのは、カラーと品格。完結する世界。
ドレープはアスワンのミュルーズ染飾美術館、刺しゅうがきれいなこっくりしたカラーの生地です。(オーセンスB6454)
メインの壁紙に使用したシンコールの和柄(SWT2714)。にぶいゴールドのツヤとグレージュの花色が気に入りました。
サイドの壁は、サンゲツのハラコ柄デザイン(生まれたての子牛の毛並み)で、眩いライムグリーンで少しハズし。(SG6147)
ドレープにもその色をヘムに使いました。(ヘム・サンゲツUP8331、トリム・シンコール52719)
天井のクロスは立体感とこちらもにぶいゴールド(シンコールBA6291)
コーニスバランス(サンゲツUP8330)は当初ベニヤ板で2700幅のものを作る予定でしたが、東京から徳島に持ち帰りたいと申し出たところ縫製を担当してくれた岐阜アートケイの後藤さんが、渦巻きを少し上にデザインして、セパレートで作る案を提案してくださいました。
アートケイの後藤さんは、業界トップクラスの縫製屋さんで、縫いものはもちろん、ほぼ工作?舞台大道具?なみのカーテンスタイリングまで製作してくださる「超職人」さんです。
プラスティック段ボール(プラ段)をベースに軽量かつコンパクト、運送賃も安い、なのに存在感抜群。
「キントウン」ができあがりました。右端下の、「五木ひろし」バリのクイッと巻き込んでる部分がこだわり♪
プラ段だから細かいディティールも可能です。
生地はサンゲツの椅子張りなので丸みも自然。椅子張り生地は立体感のあるものが多いし、案外値段はお手頃。ドレープにすると堅すぎますが、クッションやバランスなどうまく使えばいい雰囲気になります。
左右の折り曲げカーブはプラ段にハリガネを入れて曲げて下さってます。
そしてメインにしたのは滝のように流れるシアーのスタイリング。ハリのあるフジエの遮熱シアーを使いました。(FA1622BR)
これには、来た方はみんな「どうなってるの?」とめくりまくり。
後藤さんも初めて縫った、と言われていたので、私も皆さんも初めて見るスタイルだと思います。
私自身がこれ、見たかったのです。
イメージは女性のロングヘアのような圧倒的な量感。束(たば)感。フッサフサ感。
指示書とイメージを伝えてやりとり。
後藤さんは、そこからナミナミ型の縁にテグス(サバ釣り用サイズ)を巻きロック。癖っ毛のように暴れ、布が立体的になりました。
裏がすごい。当初基布に縫い付けるつもりでお願いしていたのですが、そうすると生地は左右どちらかに倒さないと縫えない、垂直に立たない、ということで提案してもらったのがこれ。
50㎝幅に30枚ある、ナミナミにカットした生地の間全てを「オーガンジーリボン」の両端に縫って、生地が立つようになっています。それが若干後ろに引っ張って円柱のようなカタチに。
SNSの普及で、岐阜と徳島の距離も関係なく「こんな感じでできてます」「こんなふくらみでどうですか」など画像付きでリアルタイムで連絡できるので大変ありがたいです。
小窓のほうはこんなイメージから。
曲線で作ったもう一方の壁面と対照的にピーコックシェードで縦横ラインピシッと。
これは滝と同じフジエの生地にグログランリボンでこのデザインにラインを縫っていただいています。
左右対称にした花器とシックな花でボリュームを出しました。
窓枠の「みはし」さんのケーシング、コーナーブロックなどもシノワズリーの雰囲気に一役買っています。
アンティークミラー、ランプ、照明クッションなどもひとつひとつ吟味して、楽しい作業。
ベンチ、ラグ、花台はちょうどイメージのものをお借りできました。
最後に。
アロマを焚いていました。お気づきの方はおられたでしょうか。
AirAlomaさんのWhite Teaという香りです。
某ホテルで御用達の甘くてオリエンタルな香りです。
マニアックな内容を読んでいただきありがとうございます。
多くの方々のご協力とアイデアと工夫でイメージしていたものがカタチになりました。
深く深く感謝申し上げます。